ー SS通信 KSK ー

2023/12/27 「お棋楽会」に参加しませんか!

 今年も残すところあとわずか。昨年は石塚席主が亡くなり、札幌将棋センターはどうなるんだろうと心配しました。しかし、脈々と貫いてきた流れは強く、また席主の御遺志を継ごうというご家族の頑張りもあり、将棋好き、棋力向上を目指す子ども達には相変わらず素敵な居場所になっています。そして今年は、長い間慣れ親しんできた駅前近くのビルから大通りへの引っ越し。これまた移転によって来なくなる人が増えるのでは、という不安もありましたが、何の問題もなくスムーズ。むしろゆったりした感覚で将棋を楽しむことができています。私達の気付かぬところで、石塚姉妹のご苦労が多々あったことと想像します。ありがとうございます。

 さて、世間は少子高齢化が大きな問題となっていますが、札幌将棋センターは真逆で、子ども教室は相変わらず活況を呈し、中高生が数の上でも実力でも主流を占めています。その分、中高年層ががくんと減ってしまいました。40年以上もセンターにお世話になっている私も先輩や同年代の方々と手合わせできなくなって、淋しい思いをすることの多い日々です。時の流れとはこんなものかとあきらめていましたが、最近、嬉しい状況が生まれつつあります。なんと、「大人」の新参者が増えてきているのです。「退職して時間ができたから子どもの頃かじった将棋をもう一度」「ネット将棋ではもの足りなくて、"道場”で腕試ししてみたい」等々

 以前は腕前に自信があって「たのもうー」という感じで来る人が多かったように思うのですが、最近は純粋に将棋を楽しみたいという方が多いようです。でも、常連になって下さる方もいるのですが、「皆さん強すぎて相手にならなかった。」「将棋を教えてもらうという場ではないみたいですね。」と、すぐ来なくなる方も少なくありません。そういう方達にこそ将棋を続けて欲しいのに、と残念に思っていました。

 そこで、ない知恵を絞り「お棋楽会」というのを立ち上げてみました。腕に自信がなくても、同じくらいの棋力なら大いに楽しめるところが、また将棋のいいところです。そういう方達が月に一度でも一同に会することができる機会を作ってみようと考えたのです。加えて初心者の方にもできるだけ指導します。今、対象になりそうな方がいらした時に声を掛け、興味をもってくれる方も少しずつ増えてきています。これから将棋をのんびり楽しみたい。孫や子ども達と将棋を通じて交流を、と思っておられる方、ぜひ「お棋楽会」にいらっしゃいませんか。毎月第3日曜日14:00に集合です。もちろん、席料以外はかかりません。

 私の初夢は「お棋楽会」がうまく軌道に乗って、子ども達に負けないくらい、中高年の熱い対局でセンターが賑わう…というのが見られたらいいなぁ。。。 皆様、良いお年をお迎えください

2023/08/07 内助 

 準備万端。順風満帆。まさに満を持してのスタートでした。私も麦茶やおしぼりなどを出していただき「こんなにサービスのいい居心地のよい将棋道場なんて他にないよな。」なんて思いながら将棋の楽しさを満喫していました。しかし、石塚席主には想定外の誤算がいくつかあったのだと思います。

 一つはセンターや支部を運営していくにあたって計画を立て、役割分担をしたメンバーが皆、高齢であり、席主を始め、仕事をもっていたり、健康に不安を抱えていたりで、センターに足繁く通えない事情をもっていたことです。私も少なくない方々が鬼籍に入ってしまったり、入退院を繰り返していることを知っています。また、親しくしていた仲間が来なくなると、足が遠のいてしまうのも自然なことでしょう。席主も孤独感を募らせていたのではないでしょうか。

 二つ目は、運営していく上で、仕事が実に沢山あることです。受付に、お金の管理、手合い付け、カード準備、リーグ戦に関わっての表作り、景品の用意、やれ昇段昇級をどうする…。etc、etc 手合いをつけるだけでも、来ていただいた方に時間を無駄にしないように配慮、リーグ戦との兼ね合いを考える。これだけでも頭を抱える大仕事なのです。しかも、この頃からちょっとした将棋ブームになって、子ども達の参加が急に増えてきたのです。きっと、席主も頭を抱えたことでしょう。しかも相談相手は減っていく…。しかし、よくしたもので、こんな時に救いの手を差し伸べてくれたのが、席主の奥様なのです。席主がオーナーを引き受けた時に「家族に絶対迷惑をかけない。」と言ったとか。まあこれは不問にしておきましょう。おそらく将棋とは全く無縁で生きてきた奥様も最初は目を回したことでしょう。しかし、その実務能力はすばらしく、先に書いた諸々の仕事をほぼ一人でこなしていました。それ以上に私が感心するのはセンターに来てくれた方々に対する行き届いた細かな気配りです。麦茶、おしぼりもそうですけど、帰る時には一人一人に「楽しめましたか?」の声かけ。子ども達の安全や礼儀に対する配慮。古いワープロを使っての緻密な資料作り…。

 この文は席主を偲んで書いているのであまり詳しくは書けないけど、席主の思いを汲んで病弱な身体に鞭打って奮闘されていた姿には本当に頭が下がりました。そして今、その奥様を二人の娘さんがセンターの運営を引き継いでいます。素敵に工夫されたホームページ。そのお陰で新参の方や子どもたちの参加が増えています。また賞状や認定証に書かれた美しい筆文字。自分の名前を見て嬉しさが増した子もたくさんいるのではないでしょうか。お二人の特技を生かし、センターは順調に続いていくことでしょう。席主!良かったね!(おわり)

2023/07/04 義侠心③

 話は前後するかもしれませんが、2011年9月、札幌将棋センターは今のサンワビルに引っ越してきました。そのあたりの経緯はさっぱりわからないのですが、石塚席主はここに拠点をもってくるために、あちこちの不動産店を回り、ご自身も足を運び、ずい分大変だったようです。何しろ「札幌駅前」と名のつく支部です。駅から遠くなくて人が出入りするので、事務所のような所や、飲食店の入る雑居ビルなどもふさわしくないし、賃貸料のこともあります。諸々考え、探し、歩き回って今の場所に決めたと、飲んだ時に話してくれました。

 9月のとある土曜日、初めて新しいセンターに来た時、エレベーターから出てびっくり。ドアの前の長机にはお祝いの花やら御酒やらが華やかに並んでいました。将棋センターのこれからに思いを馳せ、語り合ってきた仲間達の期待と意気込みを感じさせられました。そして、中に入って、明るくきれいなのにまたびっくり。旧センターの部屋ではさっぱり気付かなかったたくさんのプロ棋士の色紙や写真。会員の名札、札幌駅前支部の役員名簿が整然と貼られ、二列に並んだ長机の上の盤駒は新品同様です。受付をと向くとそこには水色のカウンターが、ぶつかるのを防ぐためでしょう、L字型の角を丸くして据えられています。席主の手造りと聞いてまたびっくりするやら感心するやら... 知らなかったとはいえ、お祝いも持たず、手伝いもせず、これは、これからここで将棋を頑張るしかないなと改めて思った次第。

 子ども将棋教室に指導に来られたプロ棋士の皆さんも、一様に子ども達の礼儀の良さと共に明るくきれいな部屋、雰囲気を誉めます。それを耳にするたびに、私まで誇らしい気持ちになっていました。まさに新生札幌将棋センターのスタートでした(つづく)